当ルームスタッフから皆様へ
「休む」「やめる」「変わる」選択
いずれもあまりよいイメージをもたれていない方も世の中にはたくさんいらっしゃるのかもしれません。
「休む」「やめる」「環境を変える」のはたくさんの同世代の人と同じように過ごす毎日から大きな別の選択をすることになります。経験されたことのない方にはなかなか理解が難しいのかもしれませんし‘協調性’を求められる文化の中で育ってきた私たちにとって「何故皆と同じようにできないのか」と感じることは無理もないことなのかもしれません。
今自宅で学習できるネット教材‘すらら’の体験を複数の子どもたちがチャレンジしています。
ずっと体調が悪くて毎日を不安に過ごしていたAさんがいます。体調が十分でなく面談に行こうと思っても身体がおいつきません。お母様のお話を通じてイメージするAさんの姿は「とても礼儀正しくて責任感の強い我慢強い子ども」でした。きっとたくさんの我慢を抱えて体調を整えるガソリンが足りなくなったんだろうからゆっくりガソリンをためてほしいと願っていました。
お母さんと自宅でゆっくりガソリンをためたAさんに先日初めて会いました。わざわざ車から降りて深々とお辞儀をしてくれました。私がイメージしていたままのとっても礼儀正しいAさんの姿に毎日きつくてもうまく言葉できつさを伝えられず頑張り続けてきたAさんのこれまでの日々も感じられました。「無理せずゆっくりでよかよか」とメッセージを伝えました。来てくれてありがとう。子どもの勇気に元気をもらいます。そして同時にAさんの丁寧さ溢れる人柄にお母様の子育ての温かさを感じ「大丈夫大丈夫」とお伝えしました。
今Aさんはまず体調を整えるために自宅で過ごしています。すららは体験している子どもがログインすると担当にも分かるシステムです。Aさんがログインしていると勉強していること以上に「今日も安心して朝を迎えられて良かった」とホッとします。
大人になると自分の過ごし方をうまく調整できるようになってきますが、子どもたちが一日を自分で考えて過ごすのは大変なことでもあります。子どもたちにとっても大きな未知の挑戦になりますが本当に各ご家庭で子どもの気持ちを温かく支えて応援して下さっていて頭が下がる思いです。子どもたちはわかってくれる人の前でしかサインは出せません。子どもがしっかり家族にサインを出せたことには大きな意味があります。
自分の身体、心、生活を自ら守るための勇気ある選択でもあります。苦しんでいる子どもたちに安心の選択肢が増えることを願い、一人ひとりの状態に合った生き方を選べるように応援できればこぎゃん嬉しいことはありません。
学習を再開するにはまず美味しくご飯を食べてぐっすり眠り頭の中を整理できる心身の状態が必要です。更に学校への再登校のためには学習、人間関係、困った時に困ったと伝えるスキルと伝えられる先生の存在が必要になります。次のステップを子どもが目指した時に総合的なサポートが必要になります。逆に子どもの状態に合わない対応を求められると心身の状態は悪化し益々子どもの道は狭まってしまいます。周囲の見極める力と子どもが何を希望しているか何を助けてほしいと思っているのか、子ども自身で気づき表現できるまで子どもの力を信じて待ってあげたいものです。心が温まって十分な準備ができれば自ら卵の殻を破り外に出てくる雛鳥のように必ず子どもたちも次の段階へと準備を始めます。まず心が温まることが大切です。不調が強い時は心身の状態を整えるのが何よりも最優先のテーマとなります。来実は様々な次のステップへの準備を進めていく場所です。
子どもと家族に笑顔が戻る。それが一番の選択です。その選択のあとには更に安心の道を自ら増やしていけると思います。道が一つしかなくて塞がり苦しい時はもう一つの道をつくる。将来苦しい場面に遭遇した時に必ず必要になるスキルでもあります。それは決して逃げではなくてきつい時に心身を避難させて自らを守る安心の道です。
所属感の大切さ
コロナ禍で大変な毎日が続いております。オンライン研修に参加する度に全国的にも子ども自身の学校に行く不安、保護者の方々の学校に送り出す不安が重なっての状況と聞きます。自らどう判断するかが益々問われる時代になってきましたね。子どもの対応に正解はありませんが、今目の前にいる子どもに無理のない笑顔が戻っていれば今の対応を信じて続けていかれたら大丈夫だと思います。人は笑えるようになると元気がたまりやすくなります。笑うこと自体がエネルギーとなると考える‘笑い療法’もあります。
子どもたちが安心して家庭以外の場所で過ごしたり出かけたりできるようになる時に一番の支えは横や斜めの子ども同士の繋がりが大きい印象を受けます。例えば集団場面でとても緊張する場合、気持ちをわかってもらえる安心できる友人が傍に一緒にいてくれたら緊張も半分になります。一人で闘って苦しいことはチームで乗り越える。「ドラゴン桜」にも元気をたくさんいただきました。
自分のきつさをわかってくれる人が家族以外にもいてくれる。そういう場所がある。それが所属感だと思います。長期間、学校に行くのがきつい状況が続くと自分のいる学校、学級への所属感が抱き辛くなることも少なくありません。「何年何組何番…」決まっていてもそう実感する機会がない子どもたちもいます。
「自分はこのように行動する」と自らの行動を選択して決めていくためにもエネルギーが必要。エネルギーをためるには安心できる場所で安心できる人と過ごすのが一番です。学校の場で学ぶことが難しくても学校以外の場で学び繋がれたらきっとそこが安心できる所属感となります。マズローの欲求の段階としては安全欲求→社会的欲求を充たしていく段階です。安心できる場所だから安心して学べる。安心できない場所で心身闘い続けて不調が出る時は今の子どもの状態と所属を求められる場所があっていないと考えていただいてよかと思います。自分の選択を信じれる生き方を子ども自身でできるように皆様と一緒に応援していければと思います😺
できないことを助けてもらう
今回、新しい取り組みへの準備をする中で私どもスタッフ自身も慣れないことの連続でした。
来実を希望された子どもたちに新しくネット教材を体験していただくためにまず私どもがうまく使えるようにならないといけないのですが、自宅でインターネット回線をパソコンで使ったことがないスタッフ、携帯はやはりガラケーがよくてラインも初挑戦になるスタッフ等新たなことを始めるにはとてもエネルギーが必要になることを身をもって実感しました(^_^;)初めてコピペ機能を知り、感激したスタッフもおります。何はともあれ、今までできなかったことができるようになるのは何歳になっても嬉しいことですね。やるかやらないかで感激の度合いも大きくかわります。ちなみに何度やっても分からないところは早速パソコンが得意な方々に応援を依頼して快く教えていただけることになり一安心しているところです。各々得意なことで力を発揮していくのが一番の自らの活かし方です。苦手なことにエネルギーを注ぎすぎると大切なこと、大切な人のためにエネルギーが残せなくなります。
きっとしばらく学習から離れていた子どもたちにとっても新しく慣れない学習をする際には同じような戸惑いとストレスがあると思います。来実では教科の学びの応援と並行して子どもたちがやってみたい「人生の学び」をどんどん応援していきたいと思います。
今、お子様一人ひとりに来実でやってみたいことをお尋ねしています。
・ゲームなら自信あるので対戦してみたい
・絵を描くのが好き
・アルバイトがやってみたい
・マンガをゆっくり読みたい
・お金と株に興味あって学びたい 等など…
子どもたちがやってみたいことをオンラインシステムをフル活用して応援していければと思います。ただし応援できそうなことに限ります。限りのない支援はお互いに無理が生じ継続しにくくなるからです。
子どもたちのピアサポーターとして現役高校生世代~若者世代にも応援してもらいます。子どもたちで学習ルーム独自のホームページを私どもと一緒に運営しながら子どもたちのメッセージをご覧いただいている皆様にも届けていければと思います。
新しいことに挑戦してうまくいかない時に助けてもらえるスキルが身につけば子どもたちの未来は開けていきます。子どもだけではなく私たち大人も一緒ですね。困った時、苦しい時に誰かを頼り力を借りる。人は誰かに頼られると「信頼してもらえているんだなあ」と感じることもできます。頼られると自分が苦しい時にうまく周りに頼れるようになり気持ちが楽になります。「一人じゃない」と感じられる。「信頼」とは相手を信じて頼ること。来実の子どもたちに一番経験してほしいことかもしれません。
「あなたには頼れる人がいますか。」これは子どもから大人までに与えられた大きな問いですね。来実が「みんながいるから大丈夫」と安心を増やせる場になりますように。
ホームページをご覧になり私どもの新たな取り組みへのご意見やご要望等ございましたらお問い合わせからどしどしいただければありがたいです。みんなで楽しみながら築く「来実」にしていきたいとスタッフ皆願っております。